
「新築の家を買ったら、税金はどうなる?」
「ローンの返済だけでも大変なのに、固定資産税まで払うの?」
「固定資産税の安くなる条件はあるの?」
マイホーム購入を考えている方なら誰もが気になる話題ですよね。
この記事では
- 新築の家にかかる税金はいくら
- 税金が安くなるには
- 将来の税金は高くなるの?
を紹介していきます。
2026年3月までに建てた家なら軽減措置(税金を安くする特典)が適用されます。固定資産税額が2分の1に軽減され、さらに長期優良住宅なら5年間も延長されるのがポイントです。
固定資産税を安くできると家計にも優しくなります。ぜひ最後まで読んでくださいね。
固定資産税とは?

あなたが家や土地を持っていると、財産に対して「持っているだけ」で毎年税金がかかります。これが固定資産税です。
固定資産税の課税対象
固定資産税の課税対象となるのは土地と家屋です。
- 土地〜宅地、田、畑、山林、原野など
- 家屋〜住宅、店舗、工場、倉庫など
新築住宅の場合、家屋と土地が課税対象となります。記事内では家屋より親しみのある建物という名称で説明していきますね。
固定資産税を払う人はだれ?
毎年1月1日に固定資産(土地や建物)を持っている人が固定資産税を支払います。
新しく家を建てた場合に固定資産税を支払う人は、土地登記簿などに所有者として登記されている人と建物登記簿などに所有者として登記されている人になります。
固定資産税の税額はこう決まる
- 市区町村があなたの土地や家の価値を調べます。「この土地は約1000万円、この家は約800万円くらいの価値ですね」となります。
- その価値に減額できる特典があれば安くなります。たとえば「住宅用の土地だから半分にしましょう」など。
- 残った金額の1.4%が税金になります。100万円なら1万4,000円です。
- 春頃に役所から「これだけ払ってください」という手紙が届きます。
つまり、持っている土地や建物の価値が高いほど税金も高くなります。住宅用の土地や新しく建てた家には安くなる特典が多いです。
支払い時期
家を2025年2月に建てた場合、2026年から支払いが発生します。理由は1月1日に所有している固定資産に対して税金がかかるためです。
厳密には2026年4月頃が最初の支払い日です。
固定資産税は通常、年4回に分けて支払います。分割手数料はかかりません。もちろん一括払いも可能です。
- 第1期 4月〜5月頃
- 第2期 7月頃
- 第3期 12月頃
- 第4期 翌年2月頃
正確な期日は各市区町村によって異なります。納税通知書に記載された期日の確認が必要です。
納付方法
- 内部振替
銀行口座から自動的に引き落とし(一番手間が掛からない方法) - 窓口支払い
- 市区町村の窓口
- 銀行やゆうちょ銀行
- コンビニエンストア
- オンライン決済
- Pay-easy(ペイジー)対応のATMやネットバンキング
- クレジットカード
- スマホ決済アプリ
一戸建ての固定資産税はいくら?

土地と建物を別々に計算して税額を求め、最後に合算するとその年に支払う金額が確定します。
新築住宅の固定資産税額の計算を見てみましょう。
土地の固定資産税の計算方法
課税標準額×税率(1.4%)=税額
計算の考え方は土地と建物も同じで、違いは特例を使用できるかです。計算方法を説明していきますね。
課税標準額とは市役所の人たちがみんなの持っている家や土地がどれくらいの価値があるのか評価します。
次にその評価を基にして税金を計算するときに使う金額を決めます。これが課税標準額です。課税標準額に税率(原則1.4%)を掛けて、実際に支払う税金が計算されます。

課税評価額は固定資産税評価額をもとに計算され、住宅用地の場合は軽減措置が適用されます。土地の中で宅地と呼ばれるものは公示価格の約7割を目途に計算します。皆さんが家を建てる場所はほとんどが宅地です。
建物の固定資産税の計算方法
課税標準額×税率(1.4%)=税額
建物は土地のような公示価格の概念がないので「再建築価格」という基準で評価されます。新築は約6〜7割が評価額となることが多いです。
土地と考え方は同じですが、最後の税額部分に以下の特例措置を適用することがあります。

出典:総務省 固定資産税の概要
新築5,000万円(土地込み)の税額シミュレーション
結論として年間21.2万円が固定資産税になります。4回の分割払いでは1回5.3万円の支払いです。
建物の固定資産税
建物4,000万円
新築は約60〜70%が評価額となるので4,000万円×0.7=2,800万円。2,800万円に税率1.4%を掛けると年間39.2万円になります。
新築住宅の軽減措置を使用すると、一般住宅なら3年間、長期優良住宅なら5年間、評価額が1/2になります。軽減措置中は39.2万円×1/2で19.6万円です。
土地の固定資産税
土地1,000万円
土地の時価の70%が目安で土地価格1,000万円×0.7=700万円(評価額)
住宅用地の軽減措置により200㎡以下の部分は評価額の1/6。200㎡を超える部分は評価額の1/3に軽減できます。
今回は全体が200㎡以下で計算します。700万円×1/6=116.67万円
116.67×1.4%=1.63万円
よって建物の固定資産税19.6万円+土地の固定資産税1.63万円=21.2万円(年間)となります。
固定資産税の3つの軽減措置

1. 住宅用地の軽減措置 期限なし
- 小規模住宅用地(200㎡以下の部分)は固定資産税が評価額の1/6に軽減
- 一般住宅用地(200㎡超の部分)は固定資産税が評価額の1/3に軽減
2. 新築住宅の軽減措置 期限あり
一定の要件を満たす新築住宅(専用住宅や併用住宅)は、3年間(長期優良住宅は5年間)、税額が1/2 に軽減される。
3. 耐震・バリアフリー・省エネ改修
- 耐震改修(1981年5月31日以前の建物)
改修後の翌年分の税額が1/2に軽減(適用要件あり) - バリアフリー改修(65歳以上の方などが住む住宅)
改修後の翌年分の固定資産税が1/3に軽減 - 省エネ改修(一定の断熱改修を実施)
改修後の翌年分の固定資産税が1/3に軽減
固定資産税の申請手続き

固定資産税の軽減措置(安くなる制度)を受けるためには申請が必要です。
どの書類を提出するの?
「住宅用地等申告書」という紙に必要事項を記載します。 役所の窓口や市区町村のホームページで入手できます。
記載内容
- あなたの氏名と住所
- 建物の所在地
- 建物の種類、構造、床面積
提出場所
あなたが住んでいる市役所や区役所の「固定資産税課」という窓口に出します。
提出期限
- 土地に家を建てた場合
家を建てた次の年の1月31日まで - 新しい家を建てた場合
家を建てた次の年の1月31日まで - 家をリフォームした場合
工事が終わってから3か月以内
期限内に提出しないと、安くならない可能性があるので注意してください!
固定資産税に関する4つの注意点

新築住宅を購入する際、固定資産税の負担を考えることはとても重要です。計画的に資金を準備しないと、予想外の出費に悩まされることもあります。
特に以下のポイントには要注意です。
- 軽減措置を申請しないと適用されない
- 固定資産税は年数が経つとどうなる?
- 固定資産税は同じ床面積でも異なる
- 固定資産税の滞納で遅延損害金が発生
それぞれ解説していきます。
1.軽減措置は申請しないと適用されない
新築住宅の固定資産税の軽減措置は自動で適用されないため、必ず申請が必要です。
新築住宅では一定の条件を満たすと固定資産税が3年間または5年間で1/2に軽減されます。
軽減措置の適用条件
- 戸建て・マンションどちらも適用可
- 床面積が50㎡以上280㎡以下
- 自己居住用(賃貸用ではない)
自治体によって申請期限が異なるため「知らなかった」では済まされません。早めに市区町村の役所へ確認し期限内に申請を済ませましょう。
2.固定資産税は年数が経つとどうなる?
年数が経てば税金はどんどん安くなると思っていませんか?
実は新築住宅の軽減措置が終了した4年目または6年目から、急に固定資産税が増えます。
年数 | 固定資産税 | |
1〜3年目 | 1/2 | 軽減措置適用 |
4年目〜 | 通常税額 | 増額 |
築年数が増えるにつれ建物の評価額が下がり、税額も少しずつ減ります。大きく減額されるのは築20年以上が一般的です。
「税額が急に上がってしまった…」と慌てないように長期的な資金計画を立てておきましょう。
3.固定資産税は同じ床面積でも異なる
「友人の家と床面積がほぼ同じなのに、うちの固定資産税が高い!」
こんなケースは意外と多いのですが、実は固定資産税の評価額は床面積だけで決まるわけではありません。
固定資産税に影響する主な要素
- 建物の構造
木造、鉄筋コンクリート造など - 使用されている建材
高級なものほど評価額が高くなる - 立地
同じ市内でもエリアで評価が異なる - 築年数
新築ほど評価額が高い
新築住宅を購入する際には、購入前に市区町村の固定資産税評価額を確認することをおすすめします。
4.固定資産税の滞納で遅延損害金が発生
「固定資産税は遅れても大丈夫だろう」と思っていませんか。実は固定資産税を滞納すると、大変なことになってしまいます。
遅延損害金がプラス
納付期限の次の日から、遅れた日数分の「遅延損害金」が加算されます。つまり、遅れれば遅れるほど支払うお金が増えてしまいます。
1か月を過ぎると遅延損害金の割合がアップし、多くの損害金を支払わなければいけなくなります。
財産が差し押さえられることも
長く滞納を続けると給料や預金、家などの財産が差し押さえられてしまうことがあります。
住宅ローンにも影響
税金の滞納記録は、住宅ローンの審査にも影響する可能性があります。「家を買いたい」と思った時にローンが組めなくなってしまうかもしれません。
固定資産税に関するよくある質問

軽減措置の申請を忘れたらどうする?
住んでいる市区町村役場の税務課にまず相談してみましょう。軽減措置の申請は期限があるので、期限を過ぎると受け付けてもらえないことが多いです。
ただ、状況によっては特別な手続きや再申請ができる場合もあります。今後のために申請期限や必要な書類、手続きの流れをあらかじめ調べておきましょう。
固定資産税の家屋調査はどこまで見る?
家屋調査は、あなたの家と土地を対象に行われます。市役所や区役所の担当者が実際に家に来て、建物の作りや広さ、設備、建物の状態などをチェックします。調査するときは、プライバシーに気を使ってくれるので安心してください。
調査範囲
1 | 建物構造 | 家具の種類、材質 |
2 | 面積 | 延床面積、各部屋の面積 |
3 | 付帯設備 | キッチンやトイレ |
4 | 建物の状態 | 劣化具合や改修履歴 |
5 | 外観調査 | 構造、外壁材 |
6 | 内部調査 | 床材、天井材 |
7 | 図面確認 | 間取り、床面積の計測 |
8 | 建築設備 | 給排水、電気、ガス |
9 | 建築資材 | 資材の種類や質 |
まとめ

新築住宅の固定資産税は複雑な制度でさまざまな注意点があります。
この記事では、固定資産税の基礎知識から計算方法、軽減措置、申請手続き、納付時期、そして節税対策まで、網羅的に解説しました。
この記事を参考に、固定資産税に関する知識を深め、賢く納税することで、新生活をより豊かにしていきましょう。