保険

就業不能保険、主婦の不要説は本当?貯金100万・300万別の損しない判断基準

「専業主婦だから就業不能保険は関係ない」
「保険料を払い続けるのはもったいない気がする」
「でも、もし半年間まったく動けなくなったら家族はどうなる?」

こんな悩みをもっていませんか?

FP(ファイナンシャルプランナー)として相談を受けるなかで、専業主婦は不要という思い込みから、後悔した方を何人も見てきました。

私自身、かつては「主婦に保険は不要なのでは」と考えていた一人でした。

しかし、相談現場でママが倒れた瞬間に家計が火の車になったケースを何度も目の当たりにし、考えが180度変わりました。

この記事でわかること

  • もったいない感覚は正しいのか
  • 知恵袋で多い「不要説」
  • 貯金100万・300万円別の意思決定
  • 住宅ローンがある場合・在宅ワーク主婦のケース別判断基準
  • 実際に加入した専業主婦の声

この記事を読み終えると、貯金や住宅ローンの有無を照らし合わせ、就業不能保険が必要かを自分自身で正しく判断できるようになります。 

※就業不能保険の仕組み・公的保障の種類・家事外注コストの全体試算については、ハブ記事「主婦・主夫の就業不能保険は必要か?不要なケースとFP目線の判断基準を解説」で詳しく解説しています。合わせてご覧ください。

「もったいない」は本当か?保険料と実際のリスクを比べる

「どうせ使わないお金を払い続けるのはもったいない」これは保険全般に向けられる自然な感情です。

ただ「もったいない」かどうかを正しく判断するには、保険料の総額とカバーされるリスクの大きさを比べる必要があります。

30年間払い続けるといくらかかる?

一般的な専業主婦向け就業不能保険(35歳加入・給付金月10万円・保障期間60歳まで)の保険料は、月2,000〜4,000円程度が目安です。

月2,500円×12ヶ月×25年=総額75万円

確かに、一度も使わなければ75万円は戻ってきません。もったいないという感覚は間違いではないのです。

倒れたときのコストはいくらか?

専業主婦が6ヶ月間入院・在宅療養になった場合、家事・育児の外注費として月10〜18万円の追加支出が発生します。ハブ記事参照

  • 外注費(最低ライン):
    10万円×6ヶ月=60万円
  • 外注費(子どもが小さい場合):
    月15万円(平日の夕食代行・病児保育・ハウスクリーニングなど×6ヶ月=90万円

1回の就業不能で保険料総額に相当するコストが発生する可能性があります。

もったいないかどうかは、あなたの家計が抱えるリスクと照らし合わせて初めて判断できます。 

知恵袋で多い不要説は本当なのか

「就業不能保険 専業主婦 必要か」と検索すると、知恵袋には不要という意見が多いです。不要説の多くは、一定の条件のもとでは正しいのですが、見落としがあるケースも少なくありません。

不要説で「正しい」部分

ネットやSNSで見かける専業主婦に保険はいらないという意見。実は、以下の2つのパターンのどちらかに当てはまるご家庭なら、そのとおり不要が正解です。

自身の状況と照らし合わせてみてください。

1. 教育費とは別に300万円以上の貯金がある

十分な蓄えがあれば、保険に頼らずとも自力でリスクを乗り越えられます。

大切なのは、その貯金が「いつでも動かせるお金」であること。教育費や老後資金とは別に、300万円の余裕があれば安心です。

数ヶ月の入院や在宅療養で支出が増えても、生活の基盤は揺らぎません。

2. 毎月の家計に10〜15万円の余力がある

夫(パートナー)の収入だけで今の生活が成り立っており、さらに家計に大きなゆとりがある場合も、保険の優先度は低くなります。

具体的には、あなたが倒れてしまったときに発生する月10〜15万円ほどの追加支出を、今の家計の範囲内でさらっと飲み込めるかどうか。

ベビーシッターや家事代行をフル活用できる経済的・精神的余力があるなら、あえて保険料を払ってまで備える必要はないでしょう。

不要説で「見落とされている」部分

ネット上の不要論には、実は専業主婦の家庭特有の3つの盲点が抜け落ちています。ここを見落とすと、いざという時に家計の底が抜けてしまいます。

1.「収入が変わらない」の落とし穴

【思い込み】働いていないから、倒れても「マイナス(減収)」にはならない。

【現実】収入は維持されますが、代わりに「支出が爆発」します。

あなたが普段「0円」でこなしている家事・育児を外注した瞬間、高額なサービス料へと姿を変えます。

外食やシッター代など、1ヶ月で10万円以上の追加出費が出ることも珍しくありません。

2.夫の「傷病手当金」はあなたを救わない

【思い込み】夫が会社員なら、健保の給付(傷病手当金)があるから家族は安心。

【現実】傷病手当金は、あくまで「加入者本人が倒れたとき」の制度です。

あなたが倒れても、夫の給付金は1円も増えません。夫が看病や家事で仕事を休めば、支出増と減収が同時に襲いかかるリスクがあります。

3.医療保険は「病院の外」まで届かない

【思い込み】医療保険に入っているから、入院しても大丈夫。

【現実】医療保険がカバーするのは、あくまで「治療費」という領収書が出るお金だけです。

入院中に発生する「子供のシッター代」や「家事代行費」は、医療保険の対象外。体を治すお金は出ても、家庭を回すお金はすべて自己負担になります。

「不要」という結論が本当に正しいかどうかは、自身の家計の数字で決まります。

【貯金額別】就業不能保険の必要性チェックリスト

貯金がいくらあれば保険はいらないのか。多くの専業主婦が知りたいポイントです。

貯金100万円未満は保険で家計の底割れを防ぐ段階

貯金100万円でも、6ヶ月の就業不能(外注費60万円+医療費10万円+その他雑費)で残高がほぼゼロになってしまいます。

住宅ローンが重なれば、家計は一気に危機的な状況に追い込まれてしまいます。

この段階では、保険料月2,000〜3,000円で月10万円の給付を確保するほうが合理的です。貯金は万能ではありません。

大切な貯金は、将来の教育費や老後資金として守り抜くべき「攻めの資金」です。貯金を切り崩す代わりに、保険という「盾」を一時的に借りて家計を守る。そんな戦略が、この時期には現実的な選択肢となります。

貯金100〜300万円は半年で底をつく可能性がある

100〜300万円の貯金は安心できる金額に見えますが、子どもが小さい家庭では厳しいと言えます。

  • 外注費:12万円 × 6ヶ月 = 72万円
  • 医療費・交通費:約20万円
  • 住宅ローン(継続):10万円 × 6ヶ月 = 60万円 
  • 合計:約150万円以上

貯金200万円の家庭なら、1回の就業不能でほぼ底をつく計算です。老後・教育費のために積み上げてきたお金が一気に崩れるリスクを、あらかじめ想定しておきましょう。

貯金300万円以上は保険よりも先にすべきこと

いつでも使える貯金が300万円以上あり、住宅ローンの返済も安定している場合、就業不能保険の優先度は比較的低くなります。

ただし、1年以上の長期療養(がん・脳卒中・うつ病など)が発生した場合、300万円でも不足するケースがあります。

現在加入中の保険の保障範囲を確認し、不足があれば補う順番で検討しましょう。

ケース別の判断基準

住宅ローンがある家庭:団信の内容を確認してみよう

住宅ローンを抱える家庭では、就業不能保険の必要性を考える前に団体信用生命保険(団信)の内容を確認するのが最優先です。

最近の団信には、がん・3大疾病・就業不能状態でローン残高が免除・減額される特約が付いているものがあります。この特約があれば、ローン返済という大きなリスクは一部カバーできます。

ただし、団信が肩代わりするのはローンの返済だけです。毎日の食費・光熱費・子どもの教育費・家事外注コストまでは面倒を見てくれません。

住む場所の安心と日々の生活費の安心は別の話で、不足分を民間の就業不能保険で補う順番で考えるのが合理的です。

在宅ワーク・個人事業主の主婦:傷病手当金がゼロになる現実

在宅ライター・ハンドメイド販売・オンライン講師など、フリーランスとして収入を得ている主婦も少なくありません。

加入する保険は、夫の社会保険の扶養に入るか、ご自身で国民健康保険に加入するかのどちらかが一般的です。

しかし、実は原則として傷病手当金はないため、療養中の収入補填は実質ゼロになります。

月収10万円 × 3ヶ月休業 = 30万円の収入減。さらに家事外注費が加わると、家計へのダメージはより深刻になります。

在宅ワーク主婦こそ、就業不能保険または所得補償保険(就業できない期間の収入減を補う保険)の検討価値が高いです。

会社員・パート主婦との公的保障の比較表はハブ記事をご参照ください。

失敗しない加入タイミングと専業主婦が確認すべき3つの鉄則

「今」がそのタイミングかどうか確認してみよう

就業不能保険は、若いほど保険料が安く、健康なほど加入しやすい保険です。以下のいずれかに当てはまるなら、今が見直しのサインです。

  • 第一子誕生・育児中
  • 住宅購入時
  • 在宅ワークを始めたとき

専業主婦が商品を選ぶときの3つの確認ポイント

1.家事従事者として加入できる商品か
すべての就業不能保険が専業主婦を対象としているわけではありません。「家事従事者可」と明記された商品選びが大前提です。

2.在宅療養でも給付されるか(免責期間=給付が始まらない待機期間の長さ)
多くの商品では就業不能状態が60〜90日継続した後に給付が始まります。つまり倒れてから最大3ヶ月は給付ゼロです。

この期間は貯金と医療保険でカバーする必要があります。在宅療養でも給付の対象になるか、待機期間は何日かを必ず確認してください。

3.精神疾患の保障が含まれているか
うつ病・適応障害などを対象外とする商品は意外と多く存在します。厚生労働省の「令和6年版 厚生労働白書」によると、うつ病などの気分障害の患者数は約169万人に達しています。

育児中のメンタル不調リスクを考えると、精神疾患対応の有無は重要な選択基準です。

実際に加入した専業主婦の声

ここまで判断基準を整理しましたが、同じ立場の方の実体験が、最後の判断の後押しになります。

就業不能保険は、いざというときの給付金以上に「精神的なお守り」として機能しています。

2つの投稿に共通しているのは「万が一のときに家族が困らないための備え」という視点です。

就業不能保険は自分のための保険ではなく、家族全員の生活を守る保険として機能しています。

もし半年動けなくなったとき、家族はどう生活するかを一度夫婦で話し合ってみると、必要性の答えが自然に見えてきます。

貯金と保険の「両輪」で家族を守っていきましょう

就業不能保険が専業主婦に必要かどうかは、貯金額・家族構成・住宅ローンの有無・在宅ワークの有無によって異なります。

もったいないと感じる気持ちは自然ですが、1回の就業不能で発生するコストと保険料の総額を比べてから判断するのが正しい順序です。

今日できること

貯金100万円未満

保険の見積もりを1社取ってみる

貯金100〜300万円

住宅ローンの団信内容を今日確認する

貯金300万円以上

現在加入中の保険の保障範囲に抜けがないか見直す

保険と貯金を「どちらか」ではなく「どう組み合わせるか」で考えていきましょう。

数字で迷ったら、まずは家計簿を開いて現状を確認してみましょう。一人で抱え込まず、将来の安心をつくるための「第一歩」だと考えてみてください。

自分の家の数字がうまく整理できないと感じたら、お気軽にご相談ください。複雑な家計の状況を、あなたと一緒に一つひとつ言葉にしながら整理させていただきます。

 ※公的保障の詳細・4つのチェックリストは→ハブ記事「主婦・主夫の就業不能保険は必要か?不要なケースとFP目線の判断基準を解説」をご参照ください。

出典

-保険