毎日、患者さんの命を支える大切な仕事をしているのに将来の自分の生活は大丈夫なのかな。夜勤や不規則な勤務をこなしながら、必死に働いているけれど老後のことを考えると不安になる。
「看護師の年金っていったいいくらなの?」
「そもそも年金の仕組みがわかならい」
「年金は転職などで減少するって本当?」
そんな疑問を抱えながらも、忙しさに追われて調べる時間すらない。正直なところ、年金の仕組みって複雑でどうなっているのかわからない。
でも同僚の先輩看護師が最近「年金の対策、もっと早くからやっておけば良かった」と後悔していた言葉が、どうしても頭から離れない。
このブログでは、現役看護師に実際に話を聞いてリサーチをした看護師の不安な年金事情をわかりやすくお伝えします。
意外と知られていない看護師の働く場所での年金の違いなども解説。今すぐできる具体的な対策から、退職後の生活設計まであなたの「不安」を「安心」に変えるヒントが詰まっています。
- 看護師は年金いくらもらえるのか
- 年金の仕組みをわかりやすく解説
- 転職や出産したときに年金はどうなる
この記事を読んで年金事情を把握し、看護師としての経験を活かしながら充実した老後を迎える準備をしましょう。
看護師の年金受給額
看護師の年金平均受給額は月額14万3973円です。しかし働く場所により平均受給額に約2万円が上乗せされる場合があります。
働く場所の違いというのは、もしあなたが国立病院や公立病院勤務であれば公務員と同じ退職等年金給付というものがもらえます。退職等年金給付により年金額が月額約2万円増えます。
出典:令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況
看護師の年金の仕組み
年金の仕組みを知ることで自分がどのような形でもらえるのかを理解しましょう。
1.年金の種類
2.看護師に適用される年金
3.受給開始年齢はいつ?
4.年金はもらえないことはあるの?
1.年金の種類
ざっくりと国民年金と厚生年金は制度の名前。老齢基礎年金と老齢厚生年金は受給できるいくつかの年金のうちの1つと覚えましょう。
2.看護師に適用される年金
看護師は働く場所によって年金の種類が変化します。ここでは勤務場所での年金の違いを説明していきますね。
職場 | 年金の種類 |
個人病院、クリニック | 老齢基礎年金、老齢厚生年金 |
国立病院、公立病院 | 老齢基礎年金、老齢厚生年金、退職等年金給付 |
大規模民間病院等 | 老齢基礎年金、老齢厚生年金、企業年金 |
年金はよく建物で表現され、1階の老齢基礎年金、2階の老齢厚生年金、3階の上乗せされる様々な年金に分かれています。
個人病院やクリニックなどは2階建ての老齢基礎年金と老齢厚生年金が受給されます。
国立病院や公立病院は3階建ての老齢基礎年金と老齢厚生年金に上乗せで退職等年金給付を受給。3階建の方が年金は多くもらえます。
大規模民間病院などでは老齢基礎年金と老齢厚生年金の他に企業年金と呼ばれる3階建て部分の年金に加入している職場もあります。
企業年金には確定拠出年金(DC)と確定給付企業年金(DB)があります。2つを併用している会社では加入を選択できます。
被保険者の種別
第1号被保険者: 自営業者、学生、無職の方等
第2号被保険者: 会社員や公務員等
第3号被保険者: 第2号被保険者に扶養されている配偶者。
上記1〜3号の種別により年金体系が異なってきます。
3.受給開始年齢はいつ?
年金は原則65歳ですが、繰り上げとして60歳から受給が可能です。繰下げとしても受給でき、75歳から受給できます。
早く受給する方が良いと判断しがちですが、早くなると年金が減額されます。反対に遅く受給すると年金が増額されます。
4.年金はもらえないことはあるの?
国民年金や厚生年金を払っているつもりが実は払っていなかったなど、年金のもらえる時期になって発覚してもどうもなりません。事前に下記の項目を確認しておきましょう。
- 加入期間の不足:年金を受給するためには、一定の加入期間が必要。
- 保険料の未納:年金の権利を得るためには、保険料を一定期間納付している必要があります。
- 雇用形態の影響:派遣やアルバイトとして働く看護師は、正社員に比べて年金保険料の納付が不安定になります。 短期契約や単発の仕事が多い場合、年金の権利資格を満たさず保険料納付期間が不足するので注意が必要です。
ライフイベントによる年金の影響
1.転職した場合
2.出産した場合
3.再就職後の取扱い
1.転職した場合
転職しても年金はもらえます。まず転職した場合、転職先で厚生年金に加入します。加入することで老齢基礎年金と老齢厚生年金の両方の年金を受給できます。
転職先の会社が企業年金制度を設けているかどうかの確認も必要です。企業年金制度を設けている場合は企業年金に加入します。
企業年金は企業が独自に設けている年金制度のことで、年金制度の3階部分になります。
もちろん何度も出てきている国立や公立病院などに勤務の場合は3階部分にあたる退職等年金給付が将来もらえますよ。
2.出産した場合
出典:日本年金機構 パンフレットを参照・加工して作成
産前産後期間の国民年金保険料免除というものがあります。出産予定日または出産日が属する月の前月から4か月間は国民年金保険料が免除される制度です。多胎妊娠(2人以上の赤ちゃんを同時に妊娠すること)の場合は6か月間になります。
免除期間は、年金の受給資格期間や将来の年金額に影響しません。免除期間は未納ではないので納付したのと同じ扱いになっていますので安心ですね。
出典:日本年金機構 パンフレット
3.再就職後の取扱い
再就職すると年金の仕組みも変わってきますが、心配することはありません。
例えば病院やクリニックなど、ほとんどの医療機関は厚生年金に加入しているので、再就職すれば自動的に厚生年金に戻ります。以前働いていた時の加入期間はちゃんと引き継がれるので、年金の受給資格を失うことはありません。
ただ、子育て中の方は気をつけるポイントがあります。育児との両立のために短時間勤務を選ぶと、給料が下がって年金の掛け金も少なくなりがちです。
将来もらえる年金が減るんじゃないかと心配になりますが、育休明けには給料に応じて保険料を調整してくれる制度があるので大丈夫です。
具体的に年金はいくらもらえるの?
結論は年金は月額約18万円(老齢基礎年金と老齢厚生年金の合計額)が受給できます。
最初に話していた金額と違うのではと思いますよね。
記事の最初に記載していた月額14万3973円はあくまで世の中の平均額です。今回は具体的に例を挙げて算出しています。
実際に下記の具体例に合致していれば約16万円を受給でき、さらに国立病院や公立病院などで働く場合は退職等年金給付の約2万円が上乗せされ、結果として月額18万円が受給できます。
看護師の年金受給例
1.共働き世帯(配偶者が会社員)
2.単身世帯
1.共働き世帯(配偶者が会社員)
会社員の平均年収年収は460万円
出典:国税庁令和5年分 民間給与実態統計調査
看護師の平均年収 508万円
出典:厚生労働省 令和5年賃金構造基本統計調査
年金の平均月額を受給すると仮定。月額14万3973円×2人分で28万7946円(老齢基礎年金含む)が受給できます。
企業年金や退職等年金給付の受給対象であれば年金が上乗せされ、受給額は月額約30万円に増加します。
2.単身世帯
看護師の単身世帯は平均月額14万3973円が受給できます。上乗せの年金である企業年金や退職等年金給付があれば、さらに増額して月額約16万円が受給できます。
出典:令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況
老後の不足分 おすすめ3選
1.NISA(ニーサ)
2.iDeCo(イデコ)
3.個人年金保険
1.NISA(ニーサ)
NISA(少額投資非課税制度)は2024年から制度が新しくなりました。自分で商品を選定し投資するのは変わらないのですが、利益が無期限に非課税という素晴らしい制度です。
NISAはつみたて投資枠と成長投資枠の2つのパターンがあります。つみたて投資枠は年間の上限が120万円、成長投資枠の上限は240万円までになっています。
また最低投資額はつみたて投資枠、成長投資枠の両方とも100円から可能です。
詳しくはNISAを知りたい方は【保存版】新NISAはやらないと損|メリット7選をわかりやすくプロが解説を参照してください。
2.iDeCo(イデコ)
iDeCo(個人型確定拠出年金)は、毎月の積立で老後資金を準備できる制度です。掛金が全額所得控除になるので賢く税金を減らせます。
病院勤務の看護師であれば、毎月最大6万2000円まで積み立てることができます。運用して得た利益に税金はかかりません。
「でも投資って難しそう…」と思ってしまいますよね。私も始めたときは素人同然で全くわからないで始めました。現在も運用を続けていますが、毎月同じものを自動で購入するようにして放置しています。問題なく運用はできるので大丈夫ですよ。
詳しくはiDeCoを知りたい方は【現役FP】iDeCoのしくみをわかりやすく紹介|メリット9選も解説を参照してください。
3.個人年金保険
個人年金保険は決まった分だけ積み立てれば、将来がいくらもらえるか分かるというシンプルな年金保険です。
定額型と変額型という2つのタイプがあって、定額型は受け取る金額が確実に分かり、変額型は運用次第で増える可能性があります。投資は苦手という方は定額型から始めるのがいいです。
保険料控除を使えば、所得税や住民税が軽くなります。ただ、気をつけたいのは途中解約です。余裕のある月額設定にしておかないと、途中で払えなくなって損をしかねません。「ちょっと少なめかな」と思う金額で始めるのが賢明です。
大きな運用益は期待できないので、もっと資産を増やしたいという方は、NISAやiDeCoと組み合わせるのがおすすめです。