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医療費控除はいくら戻る?年収300・500・800万円の早見表【2026年版】

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医療費控除でいくら戻るのか。

医療費控除を簡単に言えば、払った医療費の一部が税金から差し引かれる制度です。10万円払ったら、10万円戻ってくるわけではありません。

節税額は年収と医療費で大きく変わります。年収500万円で医療費30万円なら、所得税の還付と住民税の軽減を合わせて約4万円が戻る計算です。

この記事では2026年の制度をベースに、年収ごとの早見表や計算方法を紹介します。医療費控除と公的保障でどこまで負担が減るか、FPの観点から説明していきます。

医療費控除でいくら戻る?|年収別早見表で確認

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節税効果は年収と医療費の組み合わせで変わるので、早見表でまず自分の状況を見てみましょう。

医療費控除は「払った医療費の一部が税金から軽減される」制度

よくある誤解が「医療費をいくら使ったら、その分が全部戻ってくるのか」という考え方です。

実は医療費控除は所得控除という制度で、戻る金額は「医療費控除額×税率」で決まります。医療費控除額が20万円で所得税が10%なら、戻ってくる所得税は約2万円になります。

さらに翌年の住民税も安くなります。つまり戻る金額は「所得税の還付+翌年の住民税軽減」の両方を足した額で考えるわけです。

FPからのポイント

所得税の還付は確定申告後1〜2か月で口座に振り込まれます。住民税の軽減は翌年6月以降の請求額が下がる形で反映されるため、実際に手元に入ってくるのは所得税分だけです。

年収×医療費別|医療費控除の節税額早見表

医療費控除による減税額の目安
年収(給与収入)医療費10万円医療費20万円医療費30万円医療費50万円医療費100万円
300万円
(税率5%)
0円約15,000円約30,000円約60,000円約135,000円
500万円
(税率10%)
0円約20,000円約40,000円約80,000円約181,000円
800万円
(税率20%)
0円約30,000円約60,000円約121,000円約273,000円
1200万円
(税率23%)
0円約33,000円約66,000円約133,000円約301,000円

早見表を見るとわかるように、医療費が同じでも年収が高いほど戻る金額が増えます。

これは所得税が累進課税だから、年収が高い人ほど税率が高くなるわけです。年収300万円なら5%、年収800万円なら20%と、4倍も違います。

医療費が10万円の場合は、年収にかかわらず医療費控除の額は0円になります。

年収500万円・医療費20万円の節税額は

「20万円も医療費かかったんだから、結構戻ってくるのでは」と考える人は実は多いです。

でも早見表を見ると、年収500万円・医療費20万円は約2万円です。同じ年収500万円でも医療費が30万円なら約4万円に増えます。

10万円を超えた分からが控除の対象になるので、医療費が増えると戻る金額も増加。医療費控除は「全部は戻ってこないけど、申告すればきちんと手取りが増える制度」くらいに考えておくといいです。

医療費控除の計算方法|節税額が決まる3ステップ

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節税額の計算は3ステップです。早見表で自分の目安を確認した人も、仕組みを理解しておくと申告のときに役立ちます。

STEP1 医療費控除額の計算式

医療費控除額の計算は2つのパターンに分かれます。判定は「総所得金額等」という金額で決まります(給与収入から給与所得控除を引いた金額です)。

  • 【総所得金額等が200万円以上】:医療費の合計-保険金などで補填された金額-10万円
  • 【総所得金額等が200万円未満】:医療費の合計-保険金などで補填された金額-総所得の5%

医療費控除には「控除が始まる金額」があります。通常は10万円ですが、年収が低い人には例外があります。

計算例

たとえば医療費が8万円

  • 控除が始まる金額が10万円の人:
    8万円-10万円=マイナスなので控除ゼロ
  • 控除が始まる金額が5万円の人:
    8万円-5万円=3万円を控除できる

年収が低い人ほど控除が始まる金額も下がるので、少ない医療費でも控除を受けやすくなります。

控除が始まる金額の決まり方

総所得金額控除が始まる金額
200万円以上10万円
200万円未満総所得金額の5%

給与収入でいうと、およそ297万円が境目です。それを下回ると控除が始まる金額が10万円より低くなり、控除を受けやすくなります。

総所得が200万円未満の方(自営業で所得が低い人など)は、10万円に満たない医療費からでも控除の対象になります。「10万円に達していないから無理」と思わず、まず自分の総所得がいくらか確認してみましょう。

なお、控除額の最大は200万円です。

STEP2 所得税率を確認(速算表)

次に、自分の課税所得がどの税率に該当するか確認します。

課税所得金額所得税率
195万円以下5%
195万円超〜330万円以下10%
330万円超〜695万円以下20%
695万円超〜900万円以下23%
900万円超〜1,800万円以下33%
1,800万円超〜4,000万円以下40%
4,000万円超45%

※これとは別に所得税に2.1%の復興特別所得税が加わります(2037年まで)。

課税所得とは

「年収」ではなくて、給与所得控除や社会保険料控除を引いた後の金額です。源泉徴収票の「給与所得控除後の金額」から、各種の控除を引いて出します。

STEP3 所得税の還付+翌年の住民税軽減

戻る金額は次の式で計算します。

戻る金額=医療費控除額×(所得税率+住民税10%)

年収500万円・医療費30万円のケースで計算してみます。

  • 医療費控除額:
    30万円-10万円=20万円
  • 所得税の還付:
    20万円×10%=約2万円
    (銀行口座に振り込まれる)
  • 住民税の軽減:
    20万円×10%=2万円
    (翌年6月以降の住民税が安くなる)
  • 合計:約4万円

所得税は確定申告のあと1〜2か月で振り込まれます。住民税は翌年6月からの支払い額が減額される形で反映され、銀行に振り込まれる現金は所得税の2万円だけというわけです。

【ケース別】医療費控除シミュレーション3パターン

【ケース別】医療費控除シミュレーション3パターンの画像

よくあるケースを3つピックアップします。早見表と照らし合わせると、自分の状況に当てはめやすくなるでしょう。

パターン1:会社員(年収500万円・医療費30万円・保険金なし)

もっとも一般的なケースです。

  • 課税所得:
    約233万円(所得税率10%)
  • 医療費控除額:
    30万円-10万円=20万円
  • 所得税還付:約2万円
  • 住民税軽減:2万円
  • 合計:約4万円

医療費控除を使うケースでは、このあたりの金額帯が圧倒的に多いです。

パターン2:保険金を受け取った場合(年収500万円・医療費50万円・入院給付金20万円)

医療保険から給付金が出た場合は、その分を医療費から差し引きます。

  • 実際の医療費:
    50万円-20万円=30万円
  • 医療費控除額:
    30万円-10万円=20万円
  • 所得税還付:約2万円
  • 住民税軽減:2万円
  • 合計:約4万円

FP相談でも「保険金が出たから医療費控除は使えないですよね」と聞かれることがあります。実際には給付金を引いた後の医療費が10万円を超えていれば、医療費控除は使えるんです。

パターン3:共働きで家族分をまとめて申告(夫年収800万円・妻年収300万円・医療費合計30万円)

共働き家庭の場合、医療費をまとめて、税率の高い方で申告すると得になります。

夫が払って申告した場合(年収800万円・所得税率20%)

  • 医療費控除額:
    30万円-10万円=20万円
  • 所得税還付:約4万円
  • 住民税軽減:2万円
  • 合計:約6万円

妻が払って申告した場合(年収300万円・所得税率5%)

合計:約3万円

同じ医療費でも、申告者で約3万円も変わります。「夫と妻どっちで申告したらいい?」という質問はFP相談でもよく出てくる話です。

医療費控除の対象になる費用・ならない費用

医療費控除の対象になる費用・ならない費用の画像

医療費控除の対象は意外と広いです。見落としやすい費用もあります。

対象になる医療費

医療費控除でまず押さえたいのは、支払った費用が「治療のために必要だったか」を考える必要があります。

病気やけがの診察・治療のために病院へ支払った費用、薬代、交通費などは、対象になりやすい費用です。

迷ったときは「医師などの診療・治療に直接必要な支出か」で考えると判断しやすくなります。

対象にならない費用|美容・予防・健康増進は原則対象外

医療費に関係しそうに見えても、目的が美容・予防・健康増進であれば、原則として医療費控除の対象にはなりません。

たとえば、美容目的の施術やホワイトニング、病気の予防を目的とした費用などは、基本的に対象外です。

また、通院にかかった費用でも、自家用車のガソリン代や駐車場代は対象外です。

つまり、対象になるかどうかは「医療に関係するか」だけではなく、「治療に直接必要な支出か」で判断することが大切です。

保険金等を受取った場合は差し引く

医療保険から入院給付金や手術給付金が出た場合は、医療費からその分を差し引きます。

ただし、差し引くのは「その治療にかかった医療費の範囲内」だけです。

入院費20万円で給付金30万円が出た場合、差し引くのは20万円までで、あとの10万円は別の医療費から差し引く必要はありません。

FP直伝!見落としポイント4選

FP直伝!見落としポイント4選の画像

医療費控除を活用するために、よく見落とされる4つのことをまとめました。

1.ふるさと納税ワンストップ特例は無効

医療費控除を受けるには確定申告が必要です。確定申告をすると、それまで提出したふるさと納税のワンストップ特例申請は全部無効になります。

実際のFP相談でも「医療費控除で確定申告したら、6月の住民税通知が想定より高かった」というご相談をもらいます。

確定申告書には、ふるさと納税の控除もきちんと記載すれば、問題ありません。寄附金受領証明書は用意しておいてください。

万が一「医療費控除だけ」で申告してしまった場合でも、更正の請求という手続きで(法定申告期限から5年以内なら)訂正できます。

2.共働き家庭はどちらで申告?

医療費控除は「生計を一にする家族の医療費」を合わせて申告できます。ただし控除を受けるのは「実際に払った人」だけです。

FP相談でも「共働きなんですが、夫と妻どちらで申告すればいい?」と聞かれることがあります。

前のパターン3で説明したとおり、夫が20%の税率で妻が5%なら、夫でまとめて払えば節税額は約2倍になります。

税率の高い側で申告したいなら、その年の医療費をその人がまとめて払う工夫が必要です。家計用口座や家族カードで払ったお金は、その口座やカードの名義人の申告になります。

3.医療費控除とセルフメディケーション税制の選び方

セルフメディケーション税制は、指定の市販薬を1万2,000円超購入した場合に使える制度です。医療費控除と一緒には使えません。

判断の目安は下記のとおりです。

  • 年間医療費が10万円超:医療費控除を使う
  • 医療費は少ないけど対象市販薬を多く買った:セルフメディケーション税制を使う

どちらにするか迷ったら、両方計算して戻る金額が大きい方を選べばいいです。

4.申告忘れでも5年さかのぼり申告

医療費控除は申告期限を過ぎても、5年以内ならさかのぼって申告できます(年末調整済みで確定申告の義務がない会社員の場合、その年の翌年1月1日から5年間)。

「そういえば去年医療費すごくかかってたけど申告してない」という場合でも、領収書が残っていれば今から申請できます。

ただし、すでに確定申告をした年に医療費控除を追加したい場合は「更正の請求」という別の手続きになります。この場合、法定申告期限(3月15日)から5年以内が期限です。

医療費控除だけでは備えきれないもの|医療保険を考える前に

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医療費控除と高額療養費制度を組み合わせると、医療費の自己負担はかなり減ります。ただし「医療費以外のリスク」までは公的保障ではカバーできません。
▶︎高額療養費制度とは?自己負担の上限額を解説

高額療養費制度と医療費控除で自己負担はここまで減る

年収370万〜770万円の人が入院で医療費100万円(窓口負担30万円)かかったと仮定します。

  • 高額療養費制度を使った後の自己負担:約8〜9万円
  • 医療費控除の節税効果:さらに数千円〜1万円

公的保障だけで、窓口負担30万円は10万円以下まで減ります。

ただし2026年8月からの制度改正に注意が必要です。高額療養費制度は2026年8月から自己負担限度額が引き上げられます。

年収370万円〜770万円の人の場合、月の上限は「8万5,800円+(医療費-26万7,000円)×1%」医療費100万円なら自己負担は約9万3,000円となります。

働けない期間の収入減というリスク

公的保障がカバーするのは「医療費の自己負担」だけです。「入院や治療で働けない期間に収入がなくなる」というリスクは別のものです。

会社員の場合は傷病手当金で、給与の約2/3が支給されます。ただし、傷病手当金が出ている間も、健康保険料や厚生年金保険料、住民税などは払い続けなければいけません。

つまり、手取りは給与の2/3より少なくなり、毎月の住宅ローンや教育費などで生活が大変になる家庭がほとんどです。

一方、自営業の人には傷病手当金がないため、収入が完全に途絶えるリスクがあります。

傷病手当金の給付期間や実際の手取り額について詳しく知りたい方は、▶︎傷病手当金で生活できる?収入減リスクの考え方で、会社員と自営業の違いを含めた具体例をご確認ください。

医療保険が必要かどうかは「医療費が足りないから」という理由より「働けなくなったときの収入減に備えるため」という視点で考えると、必要かどうかの判断がしやすくなります。

まとめ|医療費控除は10万円を超えたら迷わず申告

まとめ|医療費控除は10万円を超えたら迷わず申告の画像

医療費控除は、支払った医療費の一部が税金として戻ってくる制度です。

年収500万円・医療費30万円なら、還付額は約4万円。何度も出てきた数字なので、もう覚えていますよね。

確定申告の手間はかかりますが、リスクなく確実に手元のお金が増える節税チャンスです。過去5年分までさかのぼって申告できるうえ、翌年の住民税も安くなります。

ただし注意が必要な点があります。ふるさと納税のワンストップ特例を使っている場合、確定申告をした時点で特例が無効になります。ふるさと納税分も一緒に申告することを忘れないでください。

医療費控除と高額療養費制度を活用すれば、医療費の自己負担は大きく減らせます。ただ、公的保障が守ってくれるのはここまでです。

働けなくなって収入が途絶えたときのリスク対策は、別の問題として考える必要があります。

医療保険が本当に必要かどうかを判断したい方は、▶︎医療保険が必要な人・不要な人の5つの基準で、あなたの家計状況に合わせて考えてみてください。

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