「住宅購入のときによく聞く控除って何?」
「住宅ローン控除はお金が戻るの?」
「申請って難しそう・・・」
こんな悩みを持っていませんか。
この記事でわかること
- 住宅ローン控除の4つの基礎知識
- 住宅ローン控除の計算と戻る金額
- 簡単にできる申請方法3ステップ
について解説していきます。
住宅ローン控除は多数ある控除の中でも、差し引く力が大きいものです。なぜなら住宅は高い買い物であり、住宅の金額の0.7%が控除になります。
たとえば2000万円の住宅の0.7%であれば、14万円です。結果として14万円の金額が控除になるものは他にありません。
この記事を読んだ後には住宅ローン控除の効果がわかり、自分に税金が戻ると言われる意味がわかります。
ぜひ最後まで読んでくださいね。
住宅ローン控除の4つの基礎
住宅を購入したときに住宅ローンを組むと、一部を税金から控除できる制度です。
控除とは差し引くことを言います。控除が多ければ多いほど税金が安くなるということです。控除ってわかりづらいですよね。
まずは控除の全体像を確認します。税額は仮の所得税のことで、納税額は所得税を指します。
住宅ローン控除の基本を解説していきます。納税額全体の図をさらっと確認しておきましょう。
- 住宅ローン控除とは何
- 住宅ローン控除のメリット
- 住宅ローン控除の対象
- 住宅ローンの控除期間
1.住宅ローン控除とは
住宅ローンを組み、返済をする人が所得税や住民税から一部の金額を控除できる制度です。
正式名称は「住宅借入金等特別控除」といいます。
2.住宅ローン控除のメリット
住宅ローン控除の最大のメリットは、所得税や住民税が軽減されることです。 最初に所得税から控除し、次に控除できる分が余ったら住民税を控除します。
2段階の控除が可能なので、お得感がでますよね。
全体図の最後の部分にあたる税額控除が住宅ローン控除の位置です。下記は拡大図になります。
3.住宅ローン控除の対象
住宅ローン控除の対象となるためには、一定の要件を満たす必要があります。全ての住宅ローンが控除の対象とは限りません。
新築や既存(中古)住宅の購入、増築や大規模なリフォームなど特定の条件を満たすローンが対象となります。
新築・既存(中古)住宅
- 自らが居住するための住宅
- 床面積が50㎡以上 ※
- 合計所得金額が2,000万円以下 ※
- 住宅ローンの借入期間は10年以上
- 引渡し又は工事完了から6ヶ月以内に入居
- 昭和57年以降に建築、現行の耐震に該当
※令和5年末までに建築確認を受けた新築住宅を取得等する場合、合計所得金額1,000万円以下に限り、床面積要件が40㎡以上。
4.住宅ローンの控除期間
新築 | 13年 |
新築(その他住宅)※ | 10年 |
買取再販物件 | 13年 |
既存(中古)住宅 | 10年 |
※2024年以降に入居の場合
買取再販物件とは
宅地建物取引事業者(不動産会社など)が一度買い取り、リフォーム・リノベーションを行ってから再販される物件のこと」
住宅ローン控除の計算
住宅ローン控除は年末時点のローンの残高×0.7%で計算します。
例えば年末のローン残高が3000万円ある場合は、3000万円×0.7%で21万円が控除となります。
控除の計算には住宅の種類が大きく関係します。住宅は次の4つに分かれます。
- 認定住宅(長期優良住宅、低炭素住宅)
- ZEH水準省エネ住宅
- 省エネ基準適合住宅
- その他住宅
認定住宅
・長期優良住宅
専門機関から認定を受けた長く快適に住み続けられる建物で、100年は住めますという家のこと。
・低炭素住宅
環境に配慮した家。二酸化炭素の排出を抑える対策が取られている必要があります。
ZEH水準省エネ住宅
ZEH(ゼッチ)と読みます。自分たちで使用するエネルギーを太陽光発電などで創り、消費量をゼロ以下にしようとする住宅です。
省エネ基準適合住宅
家庭で消費するエネルギーの約30%が冷暖房であり、冷暖房の消費を抑える住宅です。家の中の温度をちょうど良くするため、壁や窓がしっかりしていて冷暖房を上手に使える家のことです。
その他住宅
上記のものに当てはまらない一般住宅です。
新築、買取再販の年間上限額
2022~2023年度 | 2024~2025年度 | |
認定住宅 | 5000万円 | 4500万円 |
ZEH水準省エネ住宅 | 4500万円 | 3500万円 |
省エネ基準適合住宅 | 4000万円 | 3000万円 |
その他住宅 | 3000万円 | 0円(※) |
※2023年末までに建築確認を受けたその他住宅は、年間上限額は2000万円になります。
既存(中古)住宅の年間上限額
2022〜2025年度 | |
認定住宅 ZEH水準省エネ住宅 省エネ基準適合住宅 | 3000万円 |
その他住宅 | 2000万円 |
新築、既存(中古)住宅のローン控除の基準はあくまで入居日です。
簡単な計算例 (条件)
新築
2023年度末までに入居
ZEH水準省エネ住宅
年間上限額は4500万円
控除期間13年
年末ローン残高が5000万円の場合、上限額が4500万円なので4500万円×0.7%=31万5000円となります。
よって住宅ローン控除は31万5000円です。
次年度からも同じように、その年の年末ローン残高に0.7%を掛けて計算します。控除期間は13年間続きます。
年末ローン残高が上限額の4500万円を上回る場合に4500万円に0.7%を掛けます。
4500万円を下回る場合には年末ローン残高に0.7%を掛けて計算します。
住宅ローン控除の効果は?
住宅ローン控除は2段階(所得税のあとに住民税)に分けて控除されます。
21万円の控除の続きを見ていきましょう。
所得税を控除して余った分は、住民税から控除する流れになります。所得税 15万円−21万円で6万円が残ります。所得税15万円は全て控除されるので所得税は0円です。
まだ控除できる金額が6万円分残っているので、住民税から控除します。10万円−6万円で4万円が住民税として支払うことになります。
結果は所得税0円、住民税4万円です。
所得税を控除したあとに、まだ10万円の控除ができる場合(同じ条件)
住民税から全額10万円は控除できません。なぜなら控除できる上限額は9万7500円までとなっているからです。
よって11万円−9万7500円で1万2500円が住民税となります。
住宅ローンの控除額は大きいので、払いすぎた税金の戻りを実感しやすいです。実体験では「えっ、こんなに戻ってくるんだ」と驚きました。
税務署に確定申告後、所得税の控除は1ヶ月ほどで振り込まれます。所得税だけでは控除しきれず住民税の減額を適用したときは、直近の住民税が安くなります。
会社員は6月以降の住民税で、減額が適用されるので確認しましょう。
確定申告の申請方法3ステップと注意点
税金の申告は、年間の収入や経費等についての報告行為となります。税金の申告は必須となっていて、申告しないと法的な問題に発展する可能性があります。必要な書類と申告の手順を把握し、正しい手続きをすることが大切です。
申告の手順と注意点
申告の手順は、
- 「確定申告書の作成」
- 「必要書類の添付」
- 「税務署に持っていく」
の3ステップです。
確定申告書を作成します。
税務署や税務署のウェブサイトから確定申告書の様式をダウンロード・印刷し、必要事項を記入。
必要な書類を添付します(源泉徴収票や給与所得者の扶養控除等申告書など、所得の証明になる書類を添付。)
注意点として、確定申告書は正確に記入することが求められます。間違いがあると、再提出を求められます。提出期限を守ることも重要です。期限を過ぎると、過少申告加算税になることがあります。
必要な書類と準備方法
用意が必要なもの
- 確定申告書
- 住宅ローンの年末残高等証明書
- 住宅借入金等特別控除額の計算明細書
- 本人確認書類の写し
- 建物・土地の登記事項証明書
- 建物・土地の不動産売買契約書(請負契約書)の写し
- 源泉徴収票
申告に必要な書類は、収入を証明するものや経費を証明するものなど個々の事情によって異なる点に注意が必要です。
源泉徴収票、住民税・特別区民税の決定通知書や医療費領収書などが挙げられます。通常は手元に保管しているものか、雇用者や市区町村から発行を依頼することが必要になります。
書類の準備には時間がかかる場合もあるため、早めに動くことが大事です。特に医療費領収書は年末にまとめて発行してもらうことが一般的ですが、早めに依頼しておくとスムーズに準備ができます。
医療費控除はマイナンバーとマイナポータルが連携されているとすぐに金額がわかりますのでおすすめです。
私もやってみましたが、打つ作業がないので時間短縮になりました。
確定申告の期限と遅れた場合の対策
確定申告の期限は、毎年2月16日〜3月15日までとなっています。もし期限を過ぎた場合は、速やかに税務署に相談することが大事です。
遅れた理由によっては過少申告加算税が免除される場合もあります。原則として確定申告の期限は延長されません。
災害や事故などで申告できない場合、税務署への事前連絡により期日を延ばすことが可能です。
延長には税務署の判断が必要となるため、可能な限り早めに連絡をしましょう。
気になるポイントQ&A
住宅ローンの初年度とはいつのこと?
住宅ローンの返済が始まった次の年のことを言います。2023年12月に入居したら1年目の住宅ローン控除の申請は2024年の2月16日から3月15日の間で申請してください。
2024年1月に入居したら2025年2月16日から3月15日の間に申請となります。
住宅ローン控除は2025年以降どうなるの?
2025年以降は省エネ住宅(認定住宅・ZEH水準省エネ住宅・省エネ基準適合住宅)以外は住宅ローン控除を受けられなくなります。
省エネ住宅は高いから、その他住宅として建てたい。でも住宅ローン控除を受け取りたい場合は、2023年12月31日までに建築確認を受けること。
または登記簿上の建築日付が2024年6月30日以前の住宅にあっては年間上限額2,000万円まで控除できます。さらに控除期間10年間として住宅ローン減税も適用されます。
住宅ローン控除の法律|ここがポイント8選
1. 控除率0.7%(2025年末まで)
住宅ローン控除の控除率が2022年から1%から0.7%に引き下げられました。
13年間特例で最大455万円まで受けられていた控除が、改正後は409.5万円までしか受けられなくなりました。
2. その他住宅の控除期間が13年から10年に
控除期間は新築住宅13年ですが、その他住宅は10年になりました。中古住宅も全て10年に変更。
3. 所得要件が合計所得金額2000万円以下
住宅ローン控除を利用できる人は「年間の合計所得3000万円以下」と定められていましたが、改正によって「2000万円以下」に引き下げられました。
一部の高所得者は、住宅ローン控除の対象外となります。
4. 新築・床面積の要件緩和
合計所得金額1,000万円以下の者について、令和5年以前に建築確認を受けた新築住宅の床面積要件が40㎡以上に緩和されました。
5. 令和6年以降の新築住宅
令和6年〜令和7年にその他の住宅に入居する場合、令和5年までに新築の建築確認を受けていないと住宅ローン控除を受けることができなくなります。
令和6年以降新築の住宅を購入する場合には、一定の省エネ性能基準を満たした家でしか住宅ローン控除の適用を受けられなくなりました。
6. 既存住宅の築年数要件が緩和
改正前は耐火住宅25年以内、非耐火住宅20年以内で耐震基準適合証明書が必要でした。
2022年の改正で昭和57年以降に建築された新耐震基準に適合する住宅であれば、耐震基準適合証明書の取得は不要です。
7.住民税からの控除額の上限が引き下げ
住宅ローン控除の控除額が所得税から控除しきれない場合は、住民税からも控除ができます。
前年度課税所得×7%の最大13万6500円までが上限でしたが、前年度課税所得×5%の最大9万7500円が上限に変更になりました。
8.「その他の住宅」の住宅ローン控除
2023年末までに建築確認を受けた場合は2000万円まで受けられます。2024年からは住宅ローン控除が受けられません。
この改正は「その他の住宅」に限ったものであり、今後の住宅は国が推進する省エネ住宅への移行も反映されていることになります。